マナーとは相手の立場に立って考える“思いやりの心” [心の繋がり]
「礼儀作法」「マナー」と聞くと、どこか堅苦しいイメージがありますが、なぜそれが生まれたのかを知ると、大切なのは“相手を思いやる気持ち”だと分かります。
知らずにやっていませんか?
・椀と箸を同時に持たず、椀を先に。
・箸を茶碗や皿の上に置かない。
・大皿料理などを取り分ける時は
「逆さ箸」をせず取り箸をもらう。
・食事の最中は「手皿」をせず、懐紙を添える。
・刺し身のわさびは、しょうゆに溶かさず、直接刺し身につける。
“相手に恥をかかせない”ために学ぶ
■「和食」ならではのポイントは、箸の使い方といいます。
汚していいのは箸先3センチほど。昔、お見合いで食事をしたのも、箸でその人の素養を見たそうです。日本人はお米により命がある民族でしたから、まずご飯からいただくのが本当。偉い人から見て「左上位」なので、ご飯が左、お汁は右に置きます。「彼の右に出る人はいない」とか「左遷」などの言葉は、他の人から見た状態。歌舞伎の花道も下手にあるし、噺家のセリフも顔の向きは左上位。洋間は逆で「右上位」です。
今、おかずからおかずへと「移り箸」で食べる人が多いですが、これだと前の味が口に残り、次のおかずを賞味できません。おかずを食べたらご飯かお汁を一口挟み、口の中の味を消すのが本来の作法です。心を込めて料理された方に対して、一番おいしくいただくためのルール。洋食のワイン、すし屋のガリも同じです。
■「マナー」の心得について。
私は新渡戸稲造の『武士道』の一文に出合い、マナーを深めようと思いました。「こうしたらどう思われるか?」と考えるのは体裁で、マナーじゃない。本当のマナーは“思いやりの心”です。
日本人は最初、「LOVE」を「御大切」と訳したそうです。和食のマナーも、同席者を大切に、器も大切に、作った方も大切にと、人やものを大切にする生き方に通じます。一番大事なのは心。自分が恥をかかないためだけにマナーを学ぶとか、知らない人を非難するなど優越感を持つのはダメですね。それでは本当の心は分からないように思います。マナーの勉強は、すごく面白いです。
■女性読者へ一言。
終戦の年に生まれた私は、ご近所さんに「ちょっと貸して」と抱っこされ、かわいがられて育ちました。でもよく怒られもして「お前はブスなんだから、笑顔であいさつしないと幸せになれないよ」って近所のおじさんが。それで今でも人と会ったらあいさつしないではすまないの(笑い)。本当に私を思ってくれてると分かる言い方で、素直に聞けたんです。母の言葉は聞かなかったのにね。今は親も他人も言わないから、皆さんと「愛情で叱ろう運動」をやりたいくらい(笑い)。知らない人にあいさつしちゃいけない時代って、悲しいわね。
下町育ちのせいか、私は人間が大好き。ほとんどの人は「話せば分かる」と信じています。人の心は鏡だから、嫌だと思うと嫌が返ってくる。相手を品定めしたり、よく思われようとせず、ありのままで付き合ってくれる方とのご縁を大切にすればいいんです。私はいつもドジばかりで、家族から「サザエさん」って言われてるの。ご縁がある方も「岩下さん、しょうがないねえ」って(笑い)。マナーで大切なのは、人に緊張感を与えず、ホッとさせる心遣いなんだけど……私は皆さんに助けられてばかり。毎日「今日もありがとう」と感謝しています。
マナーを堅苦しく感じる人もいるかもしれませんが、私はマナーのルール自体はあった方がいいと思います。例えばお葬式。黒い服だと安心してその場にいられ、その安心感が心の余裕を生み、相手を思いやれます。「どうしよう」と自分のことで精いっぱいだとそれができないから、「この時はこうすればいいよ」と先人たちが伝えた生活の知恵がマナーです。
だから「そんなことも知らないの」と相手に恥をかかせるために使ってほしくないの。周りの人を思いやり、良い関係が築けるよう作られたものだと思うから。マナーを知ると、安心していろんな場所に行けるし、思いやりを発揮できます。若い方たちには、そういうマナーを身に付けてほしいと思います。
■新渡戸稲造『武士道』より
「品性のよさをそこないたくない、という心配をもとに礼が実践されるとすれば、それは貧弱な徳行である。だが礼とは、他人の気持ちに対する思いやりを目に見える形で表現することである。(中略)礼はその最高の姿として、ほとんど愛に近づく」(奈良本辰也訳、三笠書房)
和食マナー・ワンポイントアドバイス
和食の席での心掛け
・服装は正座を崩した時、足を隠せ る丈のフレアスカートがベスト。
・できれば懐紙を用意する。
・器を傷つけないように、大きな
指輪は控える。
・香水はつけない。
箸のとり方(置き方はこの逆)
和食のマナーは「箸づかいに始まり、箸づかいに終わる」といわれます。
正しい使い方をマスターすれば、どんな会席料理もリラックスしていただけます。
※②~③を、指をそろえて箸から離さず行うと美しい!
①右手で、箸の中心より少し上(右側)を持つ
②左手を下から添え、右手を箸の右端まですべらせる
③右手を箸の右端から下にすべらせ正しく持ち、左手を離す
④正しく使う(下の箸は動かさず、上の箸だけ動かす)
知らずにやっていませんか?
・椀と箸を同時に持たず、椀を先に。
・箸を茶碗や皿の上に置かない。
・大皿料理などを取り分ける時は
「逆さ箸」をせず取り箸をもらう。
・食事の最中は「手皿」をせず、懐紙を添える。
・刺し身のわさびは、しょうゆに溶かさず、直接刺し身につける。
“相手に恥をかかせない”ために学ぶ
■「和食」ならではのポイントは、箸の使い方といいます。
汚していいのは箸先3センチほど。昔、お見合いで食事をしたのも、箸でその人の素養を見たそうです。日本人はお米により命がある民族でしたから、まずご飯からいただくのが本当。偉い人から見て「左上位」なので、ご飯が左、お汁は右に置きます。「彼の右に出る人はいない」とか「左遷」などの言葉は、他の人から見た状態。歌舞伎の花道も下手にあるし、噺家のセリフも顔の向きは左上位。洋間は逆で「右上位」です。
今、おかずからおかずへと「移り箸」で食べる人が多いですが、これだと前の味が口に残り、次のおかずを賞味できません。おかずを食べたらご飯かお汁を一口挟み、口の中の味を消すのが本来の作法です。心を込めて料理された方に対して、一番おいしくいただくためのルール。洋食のワイン、すし屋のガリも同じです。
■「マナー」の心得について。
私は新渡戸稲造の『武士道』の一文に出合い、マナーを深めようと思いました。「こうしたらどう思われるか?」と考えるのは体裁で、マナーじゃない。本当のマナーは“思いやりの心”です。
日本人は最初、「LOVE」を「御大切」と訳したそうです。和食のマナーも、同席者を大切に、器も大切に、作った方も大切にと、人やものを大切にする生き方に通じます。一番大事なのは心。自分が恥をかかないためだけにマナーを学ぶとか、知らない人を非難するなど優越感を持つのはダメですね。それでは本当の心は分からないように思います。マナーの勉強は、すごく面白いです。
■女性読者へ一言。
終戦の年に生まれた私は、ご近所さんに「ちょっと貸して」と抱っこされ、かわいがられて育ちました。でもよく怒られもして「お前はブスなんだから、笑顔であいさつしないと幸せになれないよ」って近所のおじさんが。それで今でも人と会ったらあいさつしないではすまないの(笑い)。本当に私を思ってくれてると分かる言い方で、素直に聞けたんです。母の言葉は聞かなかったのにね。今は親も他人も言わないから、皆さんと「愛情で叱ろう運動」をやりたいくらい(笑い)。知らない人にあいさつしちゃいけない時代って、悲しいわね。
下町育ちのせいか、私は人間が大好き。ほとんどの人は「話せば分かる」と信じています。人の心は鏡だから、嫌だと思うと嫌が返ってくる。相手を品定めしたり、よく思われようとせず、ありのままで付き合ってくれる方とのご縁を大切にすればいいんです。私はいつもドジばかりで、家族から「サザエさん」って言われてるの。ご縁がある方も「岩下さん、しょうがないねえ」って(笑い)。マナーで大切なのは、人に緊張感を与えず、ホッとさせる心遣いなんだけど……私は皆さんに助けられてばかり。毎日「今日もありがとう」と感謝しています。
マナーを堅苦しく感じる人もいるかもしれませんが、私はマナーのルール自体はあった方がいいと思います。例えばお葬式。黒い服だと安心してその場にいられ、その安心感が心の余裕を生み、相手を思いやれます。「どうしよう」と自分のことで精いっぱいだとそれができないから、「この時はこうすればいいよ」と先人たちが伝えた生活の知恵がマナーです。
だから「そんなことも知らないの」と相手に恥をかかせるために使ってほしくないの。周りの人を思いやり、良い関係が築けるよう作られたものだと思うから。マナーを知ると、安心していろんな場所に行けるし、思いやりを発揮できます。若い方たちには、そういうマナーを身に付けてほしいと思います。
■新渡戸稲造『武士道』より
「品性のよさをそこないたくない、という心配をもとに礼が実践されるとすれば、それは貧弱な徳行である。だが礼とは、他人の気持ちに対する思いやりを目に見える形で表現することである。(中略)礼はその最高の姿として、ほとんど愛に近づく」(奈良本辰也訳、三笠書房)
和食マナー・ワンポイントアドバイス
和食の席での心掛け
・服装は正座を崩した時、足を隠せ る丈のフレアスカートがベスト。
・できれば懐紙を用意する。
・器を傷つけないように、大きな
指輪は控える。
・香水はつけない。
箸のとり方(置き方はこの逆)
和食のマナーは「箸づかいに始まり、箸づかいに終わる」といわれます。
正しい使い方をマスターすれば、どんな会席料理もリラックスしていただけます。
※②~③を、指をそろえて箸から離さず行うと美しい!
①右手で、箸の中心より少し上(右側)を持つ
②左手を下から添え、右手を箸の右端まですべらせる
③右手を箸の右端から下にすべらせ正しく持ち、左手を離す
④正しく使う(下の箸は動かさず、上の箸だけ動かす)
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