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作家の三石由起子さんに聞く 幼児への関わり方のヒント [対談]

笑顔を見せることが親の役割 期待するより、反応を楽しんでmituisi.PNG

 幼児期における親の関わりは、子どもの成長に大きな影響を及ぼします。豊かな心を育てる幼児期の関わり方について、『母親の貫禄』(廣済堂出版)を著し、幼児教育に詳しい作家の三石由起子さんに聞きました。



信頼関係を築く時

 三石さんは、20年以上前から、個人塾を開き、幼児教育に携わってきました。


 塾では、子どもと親子のような信頼関係を築くことを心掛けてきました。教え子が2歳児でも一個の人格として尊重し、触れ合ってきたつもりです。言うことを理解しているのに行動しなかったり、食事中なのに席を離れて遊びに行ったりしたら、本気で叱ったものです。

 ただ最近は、2歳の子と本気でけんかはできなくなりましたね。年を取り、何でも大目に見る心が出たからなのでしょう。これではいけないと思っています。母子だったら、2歳児でも、叱るべき時には、本気で叱ることができますから。


 よく電車やお店の中で、母親が幼児を厳しく叱りつける場面を見掛けます。はたから見ると、「そこまで叱らなくても」と思う時があります。

  

 それは普段からきちんと愛情を注いで関わって、親子に信頼関係があるからできるのでしょう。一日中、常に本気で叱っているわけではありませんよ。

 私は、大人になった教え子と今でも会う時があります。2歳から教えていた子もいれば、18歳からの子もいます。教え子は大人ですから、言うべきことはきちんと言います。ただ、同じことを言っても、ずいぶんと受け止め方が違うのです。

 2歳から面倒を見てきた子は、こちらが何を言おうが、きちんと理解する。でも、18歳からの子は、もう30歳を過ぎた大人なのに、少し厳しく言うと、「ひどいことを言われた」と傷つく。

 私は同じように愛情を掛けてきたし、今もそのつもり。でも、幼少期から触れ合っている関係と、思春期になってからの関わりでは、根本的な信頼関係が違うのでしょうね。

個性に応じて変える

 幼少期は、一生涯にわたる信頼関係を築く大切な時ですね。


 そうですね。でも、お母さんは大変ですよ。子育てはどこまでいっても分からないものですから。親が悩むのは当たり前。長男にはよかったやり方が、次男によいとは限らない。これが正解という関わり方はありませんし、マニュアルもありません。もし、いい子に育つ子育てマニュアルがあれば、みんないい子に育っていますよ。

 実際は、その子の個性によって、関わり方を変えないといけません。これが子育ての在り方だと思います。

  

 幼児期の子育てのポイントをあえて一つあげるとすれば、何かありますか。
  

 私は一緒に暮らしている親が、ニコニコ笑っていることだと思います。一度でも多くの笑顔を子どもに見せてあげ、大人になることは「いいこと」に違いないと思わせてあげましょう。これが親の役割です。子どもにとっての親の姿は、未来そのものだからです。

 親がニコニコ笑っていればそれだけで、何かこれからいいことがあるはずだと、生活が楽しくなります。

体験して好き嫌いが分かる

 幼児期の習い事の選び方を教えてください。
 

 バイオリンをやらせて、天才バイオリニストになる子もいれば、バイオリンが大嫌いになる子がいます。どういう反応が子どもに起きるのか、やってみなければ分かりません。親は子どもをサッカー選手にしたいなどの期待があるでしょう。ただ、期待は少し横に置いて、子どもが新しいことを始めて、どのような反応をし、変わるのか。その反応を楽しむ感覚でやってみたらどうでしょうか。

 特に10歳くらいまでは、さまざまな体験をさせてあげましょう。体験をした分、自分は何が好きで、何が嫌いなのかをきちんと感じることができるようになります。自分の好き嫌いが分かることは、大人になってからもとても大切なことだと思います。
  

 最後に、幼児期に家庭で心掛けてほしいことは。
 

 四季折々の年中行事を大切にして、過ごしてほしいと思います。日本にはお正月、ひな祭り、お月見などの行事があります。この行事の意味を子どもに伝え、食事や飾りの用意を一緒に行う関わりを大切にしてください。

 親と過ごした四季折々の行事の思い出は、子どもの心に深く残り、大人になってからも親との豊かな思い出として、子どもを支えていくことでしょう。





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