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古典に生きる 生田流箏曲演奏家 黒田睦子さん [箏・三絃(三味線)]

箏・三絃の素晴らしさを伝えたい

 穏やかな人柄の中に箏・三絃(三味線)への愛情を秘めている。
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 都山流尺八竹帥の黒田煌山師を父に、山田流の黒田秀与師を母に、東京で生まれる。

 幼少より母に箏の手ほどきを受ける。「お箏の前では行儀よくしなさい」。母が繰り返し語った言葉である。稽古をしているところに父が来て「楽しんでやりなさい」と。目を細めて見守った両親の顔が浮かんでくる。

 転機は高校生の時。母の師匠の演奏会で、生田流箏曲演奏家・福田千栄子(現、栄香)師の演奏を聴いたこと。福田師は文化庁芸術祭賞を史上最年少で受賞した名手。1990年、「この先生に学びたい」と門を叩いた。

 福田師の稽古は厳しく、妥協がない。演奏家に必要な完璧さを求める。上手く弾けない時、隣の部屋で弾けるまで一人で練習させられたこともある。

 ある時は「箏の柱を無造作に立ててはいけない。三味線は両手で持って側に来て渡しなさい」と教えられた。

 「機械的に弾いてはいけない。歌は聴く人が歌詞を分かるように歌うこと。情景を理解して歌いなさい」と言われたことも。

 演奏家としての基本を徹底的に教えようとする師。師匠があって自分がある。それを忘れたことはない。

     ◇ 

 95年、生田流箏曲福田派直門教授免状取得、NHK邦楽オーディションに合格した。

 黒田さんは7月に(公財)日本伝統文化振興財団の「邦楽技能者オーディション」に合格。CD「生田流箏曲 黒田睦子」(VZCF―1031)がリリースされている。

 今年度の文化庁「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」派遣員となり、地域主催の邦楽教室や学校の授業等に赴いた。

 箏・三絃は日本の春夏秋冬の風土から深化した楽器であり、音楽である。聴いたり、弾けば好きになる。黒田さんはそう考える。

 舞台での演奏だけでなく、地域で箏・三絃の素晴らしさを伝え、邦楽の裾野を広げたい――黒田さんのその思いは必ず伝わるだろう。
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