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困った子どもの問題行動 [子供と信頼]

程よいバランス心掛けて
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 何回も注意されながらも非行を繰り返したり、困った生活態度を続けたりなど、思春期の子どもは、さまざまな問題行動を起こす場合があります。家庭で心掛けてほしいことについて、佐々木光郎さんに聞きました。

原因に共通点

 子どもの問題行動という場合、大きく分けて二つあります。
 一つは、人には迷惑を掛けないが、自分を責めて、自分の体と心を追い詰めてしまう行動。例えば、ひきこもり、とじこもり、リストカット、過食症などです。社会とうまく関わりが持てないため、「非社会的行動」ともいえます。もう一つは「反社会的行動」です。周囲に迷惑を掛け、困った存在になる。具体的には暴力、盗み、性非行、無免許運転、校内暴力などです。
 この二つの問題行動、非社会的行動と反社会的行動は、表れ方は異なっても、起きる原因を見ると共通点があると考えています。「家庭でバランスよく育てられていない」という点です。いろいろな問題行動を取る子どもの家庭状況を調べると次のようなケースが多いことに気付きます。
 一つは、親が子どもに無関心で、放任していたケース。子どもは乳児から小学校低学年くらいまでに、スキンシップなどで十分に愛され、構ってもらう中で安心を獲得し、人への信頼感を育みます。過度に放任した場合、子どもは構ってもらえない寂しさと愛情不足で、常に不安を覚え、心の中が落ち着きません。
 満たされない思いが、問題行動として思春期に表面化することもあるのです。

いい子の非行

 もう一つは、子どもに期待を掛け過ぎて、あまりにも教育熱心な家庭のケースです。早くから子どもを塾やクラブに入れ、早期教育に熱心です。外から見ると経済力もあり、夫婦仲もよく、子どもに十分な愛情を掛けているように見えます。子どもも親の言うことを聞き「いい子」です。
 しかし、過度な期待は、子どもに心理面の負担を与える場合もあります。子どもは親の期待を読み取り、応えようと一生懸命になります。応えられる間はよくても、応えられなくなると、親から愛されないのではと不安になります。このストレスが積み重なり、思春期になって問題行動を起こす場合があると考えられています。
 20年近く前から、こうした一見きちんとした家庭で育ちながら、さまざまな問題行動を起こす子が増え始めました。私は「いい子」の非行と呼んでいます。

個性を見極めて

 ただ、「いい子」の非行といっても、同じ親の教育を受けたきょうだいでも皆、違います。全員が問題行動を起こすわけではありません。親の期待がうれしくて、伸び伸びと育つ子も多くいます。子どもによってさまざまです。
 過度な期待であっても、親の愛情だと前向きに受けとめられたり、親の要求に反発し、嫌なものは嫌とはっきり言いながら、自分の心のバランスを保ちながら、まっすぐに育つ子もいます。
 子どもに対する期待は大切です。期待されるとうれしくて頑張れるもの。ただ、親の願う方向に、無理にでも子どもを歩ませようとするような期待は、子どもを圧迫します。また、子どもには自分のしたいことを優先させ、行動させることも大事です。しかし、適度に気に掛け見守らないと、親から見放されていると思い、愛情不足を感じます。
 無関心でもなく、過度に期待を掛けるわけでもなく、バランスよく育てる――。結局は、このような程よい関わりが大切なのだと思います。叱るべき時は叱り、褒める時は褒める。頑張った方がよい時には「頑張れ」と後押しし、頑張り過ぎている時には「力を尽くしたならば、できなくてもいいんだよ」と寄り添うなど、励ますにしても状況に応じて変えていく柔軟性を持つべきです。
 バランスの見極めが難しいですが、子どもの個性を一番よく分かっているのが親ですから、ご自身の判断に自信をもって関わってほしいと思います。


<今日のテーマ>困った子どもの問題行動 [子供と信頼]

程よいバランス心掛けて
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 何回も注意されながらも非行を繰り返したり、困った生活態度を続けたりなど、思春期の子どもは、さまざまな問題行動を起こす場合があります。家庭で心掛けてほしいことについて、静岡英和学院大学の非常勤講師で、『非行の予防学』(三学出版)の著者である佐々木光郎さんに聞きました。

原因に共通点

 子どもの問題行動という場合、大きく分けて二つあります。
 一つは、人には迷惑を掛けないが、自分を責めて、自分の体と心を追い詰めてしまう行動。例えば、ひきこもり、とじこもり、リストカット、過食症などです。社会とうまく関わりが持てないため、「非社会的行動」ともいえます。もう一つは「反社会的行動」です。周囲に迷惑を掛け、困った存在になる。具体的には暴力、盗み、性非行、無免許運転、校内暴力などです。
 この二つの問題行動、非社会的行動と反社会的行動は、表れ方は異なっても、起きる原因を見ると共通点があると考えています。「家庭でバランスよく育てられていない」という点です。いろいろな問題行動を取る子どもの家庭状況を調べると次のようなケースが多いことに気付きます。
 一つは、親が子どもに無関心で、放任していたケース。子どもは乳児から小学校低学年くらいまでに、スキンシップなどで十分に愛され、構ってもらう中で安心を獲得し、人への信頼感を育みます。過度に放任した場合、子どもは構ってもらえない寂しさと愛情不足で、常に不安を覚え、心の中が落ち着きません。
 満たされない思いが、問題行動として思春期に表面化することもあるのです。

いい子の非行

 もう一つは、子どもに期待を掛け過ぎて、あまりにも教育熱心な家庭のケースです。早くから子どもを塾やクラブに入れ、早期教育に熱心です。外から見ると経済力もあり、夫婦仲もよく、子どもに十分な愛情を掛けているように見えます。子どもも親の言うことを聞き「いい子」です。
 しかし、過度な期待は、子どもに心理面の負担を与える場合もあります。子どもは親の期待を読み取り、応えようと一生懸命になります。応えられる間はよくても、応えられなくなると、親から愛されないのではと不安になります。このストレスが積み重なり、思春期になって問題行動を起こす場合があると考えられています。
 20年近く前から、こうした一見きちんとした家庭で育ちながら、さまざまな問題行動を起こす子が増え始めました。私は「いい子」の非行と呼んでいます。

個性を見極めて

 ただ、「いい子」の非行といっても、同じ親の教育を受けたきょうだいでも皆、違います。全員が問題行動を起こすわけではありません。親の期待がうれしくて、伸び伸びと育つ子も多くいます。子どもによってさまざまです。
 過度な期待であっても、親の愛情だと前向きに受けとめられたり、親の要求に反発し、嫌なものは嫌とはっきり言いながら、自分の心のバランスを保ちながら、まっすぐに育つ子もいます。
 子どもに対する期待は大切です。期待されるとうれしくて頑張れるもの。ただ、親の願う方向に、無理にでも子どもを歩ませようとするような期待は、子どもを圧迫します。また、子どもには自分のしたいことを優先させ、行動させることも大事です。しかし、適度に気に掛け見守らないと、親から見放されていると思い、愛情不足を感じます。
 無関心でもなく、過度に期待を掛けるわけでもなく、バランスよく育てる――。結局は、このような程よい関わりが大切なのだと思います。叱るべき時は叱り、褒める時は褒める。頑張った方がよい時には「頑張れ」と後押しし、頑張り過ぎている時には「力を尽くしたならば、できなくてもいいんだよ」と寄り添うなど、励ますにしても状況に応じて変えていく柔軟性を持つべきです。
 バランスの見極めが難しいですが、子どもの個性を一番よく分かっているのが親ですから、ご自身の判断に自信をもって関わってほしいと思います。

お片づけの習慣で子どもの主体性育もう [子供と信頼]

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 子どもにお片づけの習慣を身につけさせることで、単に部屋がきれいになるというだけでなく、さまざまな成長が期待できます。こうした習慣づくりがなぜ大切なのか、『子どものお片づけ』(青月社)の著者で、お片づけカウンセラーの橋口真樹子さんに聞きました。


必要な物を選択する

 「片づける」とは、必要な物と不要な物を分ける作業です。必要な物は収納し、不要な物は処分します。何も処分しなければ、家の中は物であふれ、居心地が悪くなります。自分や一緒に住む家族にとって心地よい空間にするためには、限られたスペースの中で、不要な物を処分することが必要です。

 この片づける作業を子どもが習慣にすることで、子どもの主体性が身につき、自分の人生をデザインする力を育むことができると考えています。なぜなら、今の自分にとって、「いるのか、いらないのか」を判断することが求められるからです。選択する中で、自分がどうしたいのかを考えることができます。

 これは勉強で必要、これは思い出が詰まっているから必要などと、残しておく理由は人それぞれです。選択を迫られると、そもそも自分が何の勉強がしたいのか、何を大切にしているのか、どのような住まいにしたいのかという点を考える機会になり、自分への関心を深めていくことができます。

環境を変える発想

 年齢が上がれば上がるほど、主体的に選択する力が必要です。進路や職業の選択もそうです。主体性が身につかず、自分への関心が薄いと、何をしたいのか分からず、周囲の雰囲気に合わせて、なんとなく人気がある職業を選ぶという行動になってしまうかもしれません。片づけを通して主体性を身につけ、少しでも本人の希望通りの人生を歩めるように支えていきたいものです。例えば、子どもに6畳分の部屋を与えているならば、そのスペースの中で最大限、気持ちよく生活するための工夫をし、自分で部屋を片づけられるように教えてください。

 与えられた条件の中で、一番よい環境を作れるように努力する――この習慣が身につけば、大きくなってから、思い通りにならないことに直面しても、環境のせいにするのではなく、“どのように環境を変えていけばいいのか”と主体的に発想できる子に育つのではないでしょうか。

幼少期 お片づけ好きな子になる仕組み

 家の中の全てを片づけることがお母さんの仕事ではありません。お母さんの仕事は、子どもたちが片づけやすい仕組みを作ることです。自分で使ったものは自分で片づける習慣を、小さいころから身につけさせたいもの。幼少期の子どもがいる家庭で、特に心掛けてほしい二つのポイントを挙げます。


収納場所は近くに

 使った場所の近くに、物をしまう箱や棚などがあると、すぐに片づけることができます。習慣づけるには、距離の近さが重要。1階で使った物を2階まで持っていくようだと、面倒で片づける習慣はなかなか身につきません。毎日使っているおもちゃならば、リビングにおもちゃで遊ぶスペースを作り、そこに片づけられるようにします。

 幼い子はよく物をなくしますが、片づけの習慣が身につくと、なくすことも減ります。家の中で物をなくすのは、使わない時に置いておく場所が決まっていないから。「どこにしまったっけ?」と考えなくても、すぐにある場所が分かるような「定位置」を作る必要があります。


量を調整する

 物がたくさんあると、片づけは大変です。子ども自身が片づけやすい量にしてあげましょう。遊ばなくなった物はいつまでも置いておかず、話し合った上で、処分するなどし、物を増やし過ぎないことです。

 子どもが幼いうちは自由になるお金がないので、自分で物を買って増やすことはできません。増えるのは周囲の大人が買ってあげるから。買い与える際には、処分するおもちゃも決めた上で買うとよいでしょう。

 例えば、誕生日の近くになると、子どもはまもなく手に入るプレゼントで頭がいっぱいになります。そのタイミングで「プレゼント、どこに置くの? 置く場所を今のうちに用意しておこうよ」「遊ばなくなったおもちゃある?」などと聞いて、子ども自身に不要な物を選択させましょう。

惜しまずあげたい言葉を! 心を!<作家 吉富多美さん> [子供と信頼]


惜しまずあげたい言葉を! 心を!
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 大ベストセラーの児童書『ハッピーバースデー』で知られる作家・吉富多美さんの新作『きっときみに届くと信じて』(金の星社)が好評だ。どの中学校でもあり得る“いじめの構造”をリアルに描き、大人の善意や努力が傷ついた子どもたちの希望となるハートフルな物語。作品への思いを軸に吉富さんに話を聞いた。

人を傷つけてはいけない

 「いじめの問題に対して、私たち大人は、もっと本気にならないといけないですね」

 いじめから発展した“悲劇”の報道に接するたび、吉富さんは一人の大人として“申し訳ない”気持ちでいっぱいになるという。

 「いじめをした子をただ責めるだけでは問題は解決しないと思います。互いの存在の大切さ、そして、どんな理由があっても“人を傷つけてはいけない”と大人は子どもに伝えていかなければ、と思います。“これ以上、子どもを死なせない!”と大人が強く思えば、子どもたちも気付いてくれるのではないでしょうか」

 『きっときみに届くと信じて』。この物語のタイトルには、子どもたちへの熱い思いと大人たちへの問い掛けが込められている。

 「うざいアイツが完全に消えるまで頑張ります」と、作家・南條佐奈のFM番組にリスナー名“リカちゃん”から「いじめ予告」のメールが。これは、実はリカちゃんからの“心のSOS”なのだ。そして、さらにリスナー名“マリン”から届いた手紙には「今夜、死のうと思います」との一文が。

 佐奈が書店で見かけた少女・倉沢海とその友人・田淵晴香が、佐奈の番組を通じてつながっていく。幼い娘を交通事故で亡くしていた佐奈は、心で“生きて! 生きて!”と叫びながら、ラジオから語り続ける……。

 「いじめは子ども同士だけでは解決できません。互いの心を整理するコーディネーター役を大人が担うべきです。その大人も、つらい現実がありますが、痛みを抱えて乗り越えようとする者同士だからこそ、分かり合えることがあるんです」

 吉富さんは月1回、「朝日中学生ウイークリー」紙上で読者の相談コーナーを担当。寄せられた文面を何回も読み返し、字面の奥にある“何を求めているのか”を必死に突き止め、言葉を紡ぎ返す。

 「中には、親の恋愛相談に乗っている中学生がいます。けなげに支えようとするわが子に甘えたい親の気持ちも分からなくはないですが、“この子はまだ14歳なんだ”と思ってほしい。親は、わが子の友達になっていいと思いますが、わが子を自分の友達にしてはいけないのです」

 信頼する大人がいない、親にも教師にも言えない状況にいる子どもたちが、あまりにも多い――吉富さんは、それを崩したい。

 「相手の気持ちを本当に分かろうと話を聞き、届いてほしいと思いを込めて言葉を掛けることが希薄になっているのでは。私も含めて大人は、心も言葉も惜しまず、子どもに掛けたいですね」

ほんの一言が希望になる

誰かに話して知恵を得る
 一方、子どもたちにも分かってほしい。何かあったら遠慮せずSOSを発して――吉富さんは強調する。

 「もっとあなたの周りの大人を信じてほしい。最初の人がダメなら、2人、3人と伝えて。いろいろなNPOも活動しています。自分だけの狭い世界で解決しようと思わず、勇気を出して、誰かに話して問題を共有することで知恵を得る力を付けてほしいのです」

 自らNPOの理事を務めながら痛感するのは、昨今、家庭の経済状況が悪化し、離婚や貧困などで苦しむ人が増えていること。

 「これは社会的な問題です。でも、自分の家がそうなった中学生は、そのことで自分を責めている。子どものせいでは全くないのにです。貧困などを自分だけの問題と小さく捉えていくと本当に行き詰まってしまう。そうではなくて、まずは広い視野から捉えれば、つらい状況でも卑下することなく、それを“学び”として次の一歩が踏み出せるのです」

 意識して自分とは違う世界との関わりを持ち、そこから謙虚に学んでいく姿勢は、子どもに限らず大人にとっても大切なこと。その意味から、読書も自分の視野を広げる有効な“窓口”になる。

 「私には、本が大好きな6歳と3歳の2人の孫がいます。その姿から、本の力ってすごいなあと思いますよ」

 上の子は、1泊のキャンプをぐずっていたが絵本をヒントに家族の“にこにこマーク”を手に描いてあげたら笑顔で参加。下の子は母熊とお別れした小熊の絵本を読み、母のいない子の悲しみを知ったという。

 「大人がうまく伝えられないことも本から学べます。親にとっても、本は子育ての大きな力になりますよね」

 時は止まらない。前へ進む。どんなに追い詰められたとしても、一寸先は分からない。どうにだって変わる。ほんの一言が、子どもの希望になる――物語で、吉富さんが訴えたかったことの一つだ。

 「大人の声掛けが、まだまだ少ないと思います。人と出会い、言葉と出あうことが大きな希望になります。私たちは子どものSOSをきちんと受け止め、希望の言葉に変えて返してあげたいですね」





豊かな体験が子どもを変える――「キッザニア」の取り組みを [子供と信頼]

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五感をフルに使う機会増やそう

 夏休みには、普段とは違う体験を子どもに積ませたいものです。子どもの職業体験を楽しむ施設「キッザニア東京」(東京・江東区)は設立以降、「キッザニア甲子園」(兵庫・西宮市)と合わせ累計来場者が1000万人を超える人気です。キッザニアの取り組みを例に、「体験」の魅力を考えます。


子ども扱いしない

 キッザニアはメキシコ発祥で、「体験を通して子どもの力を引き出し、生きる力を育む場を提供する」ことを目指して、2006年に日本に設立。3分の2サイズの街の中で、医師、消防士、新聞記者、バスガイド、ファッションモデルなど90種類以上の職業・社会体験をすることができます。

 “仕事”の後は給料として、街で独自に使える通貨「キッゾ」が支給され、デパートで買い物をしたり、銀行に預金して利子を得たりすることもできます。働く体験とともに、消費者(お客さん)としての社会活動も体験できるのです。

 キッザニアは、「ごっこ遊び」で終わらないようにリアリティーも追求。スポンサー企業の協力を得て、本物の職場環境づくりにこだわります。例えば、ピザ作りでは、スポンサー企業が使う本物のキッチン、ユニホーム、食材を使用。スタッフであるスーパーバイザーの指示で簡単な仕事の仕方を学び、作ったものは自分で食べることができます。

 スーパーバイザーが特に気を付けているのは、「子どもを子ども扱いしない」こと。○○さんと敬称で呼び、一人前の社会人として接します。一人前として扱われると、子どももわがままを言ったり、思い通りにならないからといって泣いて主張したりという言動が減り、自立心を育てることにもつながるといいます。

 体験がどのような教育効果をもたらすのでしょうか。「視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚の五感をフルに使うことで、本物に触れる感動が生まれます」「物事への興味が高まり、将来への夢を育むことにつながる」と語ります。
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好き嫌いに変化

 キッザニアで、ハンバーガー作りをした5歳男児は、大のトマト嫌い。好き嫌いが激しいのが母親の悩みでした。男児はトマト、ハンバーグ、レタスなどの食材を重ねてハンバーガー作りに挑戦。自作のハンバーガーを口に入れると「トマト、おいしい!」と満面の笑み。母親は「トマトを、こんなにおいしそうに食べたのは初めて」と驚く一方で、「料理の体験を通して食への興味が湧いたのかもしれません。今度からは、一緒に食事を作る機会を増やそうと思います」と感想を。
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 「好き嫌いをしないで食べなさい」と、いくら口で言っても効果は薄いもの。しかし、実際に自分で作ることで食べ物に愛着が湧き、食べる意欲が湧く。体験が子どもを伸ばす一例といえます。
新たな個性に気付く

 また、キッザニアでの職業体験を通して、新たな子どもの個性に気付いた親もいました。どちらかというと引っ込み思案で、人の前には立ちたがらない。これがわが子の個性だと思っていました。しかし、ファッションモデルの体験をすると、人前で自分を表現する楽しさを実感。その後、消極的な姿勢から、何事にも積極的にチャレンジしようとする姿勢に変わったといいます。

 わが子の個性を親が決め付けずに、まず子どもに体験させてみること。そうすれば、今まで気付かなかった新たな個性の発見につながるのです。
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 今はテレビやインターネットで多くの情報を得られる一方で、塾通いやゲーム遊びで、多彩な体験をする機会が減っています。だからこそ、意識して子どもと出掛ける機会を増やし、五感を使った体験を重ねていきたいものです。




体の感覚を磨く親子の触れ合い [子供と信頼]

言葉にならない思いに応えて
整体ボディワーカー 山上亮さんに聞く
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 スキンシップは、親子で愛情を伝え合って互いに信頼を深めるだけでなく、体の感覚を磨くためにも大切です。どのような触れ合いが、体の感覚を磨くことにつながるのか、『子どものしぐさはメッセージ』(クレヨンハウス)を著した山上亮さんに聞きました。山上さんは、整体ボディワーカーとして、子育てに関する講演を各地で行っています。親子で簡単にできるワークも紹介します。



五感で世界を捉える

 幼少期は、体が最も育つ時期です。目で見るだけでなく、体の五感すべてを使って世界を感じられるように、親子の触れ合いを中心にした関わりが大切です。

 私たちは、頭(意識)で物事を考えることに慣れ、体(無意識)で物事を捉えることが少なくなりました。何かを学ぶにしても、知識を優先させて言葉を学び、物事を分かったつもりになる場合が多い。しかし本来の学びは、体で感じた体験が先にあった上で、その体験を表現する形で、言葉を知るのです。現代は学びの順序が逆になってしまいがちです。

 頭で考えることが優先されがちな社会だからこそ、私は特に幼少期の子には、体で感じることを大切にしてほしいと思います。体の変化に注目し、敏感になることで、これまで見えていなかった世界が見えるようになるからです。体の異変にも気付き、病気や事故を未然に防ぐこともできるでしょう。

 これは子どもだけでなく、親にもいえることです。子どもは、全力で自らの体を使い、ちょっとしたしぐさを通して、言語化できない思いを親に伝えます。親がきちんとそのしぐさを捉え、応じる中で、親子関係はもっと深いものになります。

 体の動きを通じた交流をするには、親自身もきちんと体で物事を感じられるようになる必要があります。そのためにも、日ごろから親子の触れ合いをたくさんしてほしいです。
ワーク1 背中の指何本?

手順

 親子2人組で、親が、子どもの背中側に来るように縦に並びます。親が子どもの背中に指を当て、子どもはそれが何本なのかを当てます。背中の一部分ではなく、いろいろな箇所に手を当て、やってみてください。
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解説

 簡単そうに見えますが、意外と本数を当てるのは難しいです。ただ、背中に意識を集中することで、徐々に本数が分かるようになります。背中は目に見えない部分です。このワークは見えないものの気配を感じる訓練になります。

 何回やっても本数が分からない部分も出てきますが、その部分は、今まで気に掛けていなかった部分です。だからこそ、今後はその部分を、気に掛けていくようにしてください。続ける中で、体の感覚が磨かれていきます。



ワーク2 鈴はどこにある?

手順

 親子で向かい合って行います。子どもは目を閉じて、親は鈴を持って鳴らします。子どもは、目を閉じたまま音をたよりに、鈴がどこにあるのか当ててみましょう。
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解説

 音の方向は分かっても、鈴の位置まで当てるのはなかなか難しいです。普段は、目で見ている世界を強く意識しているので、見えない世界への意識が薄いからです。目を使わずに、耳だけで音を探ることで、聴覚が研ぎ澄まされていくでしょう。聴覚を研ぎ澄ますことで、例えば、背後からくる車の存在に気付くなど、事故を未然に防ぐ能力が磨かれていきます。
ワーク3 きずなの棒
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手順

 50~80センチほどの棒を2人分用意しましょう。ケガ予防のため、棒の端にはテープを巻いて、丸くしておくとよいです。親子2人で向かい合って立ち、人さし指だけで2本の棒の端をそれぞれ持ちます。そのまま、棒を落とさないように自由に動いてください。
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解説

 相手との間合いを繊細に感じる感覚を育てることができます。2人で同じ棒を支えるためには、相手の動きに合わせて自分もうまく動かなくてはならないからです。



ワーク4 人間木登り

手順

 親と子どもが向かい合って立ちます。親の合図で、子どもが親によじ登る。子どもが親に乗って、肩車の状態になればゴールです。
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解説

 親は手伝わずに、子ども自身の力で登ることを大事にしてください。登るのが難しければ、親が少し膝を曲げてください。手足を上手に使って、自分の体重を支える力を育てることができます。手足の感覚を研ぎ澄ますだけでなく、自力で登らせることで、自分の力でやりきる喜びを知ります。
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