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家族で! 仲間で! 星空ウォッチング [天体ショー]

 大気が澄んでくるこれからの時期は、夜空に浮かぶ星座がくっきりと見える季節です。今回のあすなびは、そんな秋と冬の空を彩る星々を特集。星座や流星群、さらに地球外の生命体の発見に挑む建設中の超巨大望遠鏡「TMT」について、国立天文台副台長の渡部潤一さんに聞きました。

見つけられるかな?
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 カシオペヤ座が北の空に上がる時、ほぼ頭の真上に位置するのが、カシオペヤの娘の名を冠したアンドロメダ座です。
 この星座には見逃せない天体があります。地球がある「天の川銀河」から230万光年離れた「M31」、通称アンドロメダ銀河(写真)です。
 双眼鏡や望遠鏡があれば、細長く伸びている銀河を観察できます。
 北半球の真北の空に輝き続ける北極星。よく知られている見つけ方は二つあります。
 一つは北斗七星を利用する方法ですが、今の季節は北斗七星が北の地平線近くまで下がっているため、少し分かりにくいかもしれません。
 もう一つは、秋の星座カシオペヤ座を使う方法です。左図のA地点からγ星を通る線をイメージしてみてください。その線の上に輝く北極星が見つけられるでしょうか?

秋の星座

カシオペヤ座

 カシオペヤ座は秋の星座の代名詞。11月の下旬、午後9時ごろに北の空高く「W」の印象的な形が浮かんでいるはずです。
 カシオペヤは、ギリシャ神話に登場する、古代エチオピア王国の王女の名前です。自分と娘のアンドロメダの美しさを自慢しすぎて、海の王ポセイドンの怒りを買いました。
 星座は、いすに座った彼女の姿がモデルになっています。

ペガスス座 

 午後8時から9時ごろ、南側の頭上近くに、明るさがそろった四つの星がほぼ真四角に並んでいます。
 これがペガスス座の一部である「秋の四辺形」です。星座は四辺形を胴体として、そこから首と顔、そして脚が伸びている形になっています。
 ただし、四辺形を形作る四つの星は、いずれも二等星以下の明るさなので、すぐにそれと分かるには慣れが必要かもしれません。

星の明るさ「等級」って何?
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 大昔の天文学者たちは、目に見える一番明るい星々を1等星、最も暗い星を6等星として、それぞれに分類していました。
 時代が進むと、1等星と6等星は明るさの差がおよそ100倍であるという観測結果が得られました。すなわち、6等星から1等級上がるごとに明るさは約2・5倍になります。
 なお、このような計算方法が確立したことで、等級の値は0や負の数を取れるようになりました。負の数が大きければ大きいほど、強い明るさを示します。例えば、太陽の明るさはマイナス27等級、満月はマイナス13等級です。

星座ってナニ?

 太古の人々は、輝く星々を想像力豊かに結び付け、そこに動物や神話の登場人物を投影しました。それが星座です。現在、星座の数は88個と定められています。
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ふたご座流星群

 ふたご座流星群は、条件さえよければ、1時間あたり30~100個ほどの流れ星を観測できる大流星群です。
 今年のピークは、12月14日の午後9時ごろで、子どもでも観測しやすい時刻といえます。
 今年は月明かりがあるので、決して好条件とはいえませんが、流れ星を見つけられる可能性は高いはず。しっかりと防寒対策をして観測に挑戦してみてください。

冬の星座

オリオン座

 今の時期ならば深夜、南の空には斜め一直線に三つの星が並んでいます。有名なオリオン座の中心部です。これから冬が深まるにつれて、空高く上がる時刻が早まってきます。
 赤みのある1等星ベテルギウス、青白く光る1等星リゲルも含まれており、すぐに見つけられるでしょう。またベテルギウスは、おおいぬ座の1等星シリウス、こいぬ座の1等星プロキオンとともに「冬の大三角形」を形作っています。 

おうし座

 おうし座は、まさに闘牛の1シーンのごとく、狩人であるオリオンに挑むように位置しています。
 この星座には有名な天体が二つあります。一つは、おうしの右目に当たる、赤く光る1等星のアルデバラン。そして“昴”の名で親しまれるプレアデス星団です。
 プレアデス星団は、数個の星がひとかたまりになっていて、ひときわ強い輝きを放っています。

宇宙の謎に迫る!

超巨大望遠鏡「TMT」

 米ハワイ島では、日本など5カ国の国際協力で「TMT(30㍍望遠鏡)」の建設が進んでいます(完成予想CG写真=国立天文台TMT推進室、2022年観測開始予定)。遠くの天体から届く光を巨大な鏡によって集め、宇宙の最初期にできた星の観測を目指します。
 TMTに期待される最大の挑戦は、生命が存在する可能性のある惑星の発見です。
 20世紀末までに、太陽以外の星を回る「系外惑星」の存在が知られるようになりました。さらに、それらの惑星系の性質も分かり始めてきています。
 TMTはそこからさらに進んで、地球のような惑星の姿を直接捉え、惑星の表面や大気の成分を調べることができます。大気中に酸素のある惑星はあるのか、そこに生命は存在するのか長年の疑問に、TMTは答えを出してくれるかもしれません。

監修:国立天文台 副台長・教授 渡部潤一さん

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アイソン彗星がやってくる [天体ショー]

11月中旬から夜明け前の東の空に 天体写真家 藤井旭
2_7.jpg彗星の動き 彗星は太陽に近づくほど、蒸発が激しくなり、大きく明るく、尾も長くなります。また太陽から吹き付ける太陽風などによって、尾はいつも太陽と反対方向に伸びることになります。

 「今年最高の天体ショー」と期待を集めている、アイソン彗星が間もなくやってきます。天体写真家で、『星と暮らす。』『宇宙のしくみ 星空が語る』などの著書があり、星空の世界の分かりやすい解説で定評のある藤井旭さんに、アイソン彗星の特徴や観測のポイントとともに、彗星という天体の不思議について、つづってもらいました。

人類との一期一会

 どこからともなく現れ、長い尾を引いて夜空を横切り、そして、どこへともなく去っていく彗星は、“星空の旅人”に例えられる天体です。

 1年間に発見される彗星の数は、250個近くにもなります。そのほとんどは肉眼では見えない、かすかなものばかりですが、10年か20年に1個ぐらいの割合で、肉眼で見えるものが現れてくれます。

 そんな“大物彗星”の一つで、昨年9月に発見されたアイソン(ISON)彗星が、11月中旬から12月中旬に掛け、夜明け前の東の空に現れるというので、大きな話題になっています。

 アイソンという名前は、彗星を発見した人の名前ではなく、新彗星の発見に活躍しているプロジェクトのチーム名です。天文学的には「C/2012 S1」とされる新彗星なのです。

 彗星といわれて、誰もがまず思い浮かべるのは、あの有名なハレー彗星の名前でしょう。有史以来、およそ76年ごとに現れ、人々を驚かせ続けている大彗星ですが、ある一定の間隔をおいて現れるところから、ハレー彗星のような彗星は「周期彗星」と呼ばれています。その一方で、アイソン彗星は、今回初めて太陽に接近し、遠ざかった後は二度と戻ってこない彗星だと明らかになっています。まさに今回の登場が、人類との一期一会となるわけです。

太陽系史の生き証人
1_17.jpg有名なハレー彗星。次回は、2061年の夏に現れます

 では、アイソン彗星のような新彗星は、一体どこからやってくるのでしょうか。それは、太陽系の最果てともいえる外縁部に、「オールトの雲」と呼ばれる彗星の巣があって、太陽系全体をふんわり球状に取り囲むように彗星の卵たちが、それこそ無数に浮かんでいると考えられています。

 その彗星の巣から、何らかのきっかけで太陽に向かうはるかな旅路をたどるようになったのが、アイソン彗星のような“新人彗星”で、地球のあたりまでやってくるのに数百万年はかかると見られています。

 ハレー彗星のような周期彗星は、旅の途中で木星のような大惑星の強力な引力で軌道をねじ曲げられてしまったもので、かつては太陽系外縁部にある彗星の巣の出身者だったに違いありません。

 では、どうして太陽系の最果てともいえるオールトの雲のあたりに、無数の彗星の卵たちが球状に浮かび漂っているのでしょうか。

 今からざっと46億年もの昔、原始太陽系星雲の中で太陽系が誕生するとき、数キロメートル大の、おびただしい数の小さな微惑星たちができ、それらがおにぎりのように寄り集まり、固まって地球のような惑星に成長したとされます。そして、その際に惑星になれず、取り残された微惑星たちが、はるか太陽系の外縁部まではじき飛ばされ、「オールトの雲」が作られたのだと考えられています。

 つまり、彗星は太陽系誕生時の秘密を知る生き証人、太陽系の化石天体ともいえる存在なのです。さらに最近では、無数の彗星たちが原始地球に衝突して海を作り、生命の誕生につながる有機物を運び込んだ張本人だったかもしれないなどとさえ、取り沙汰されるようにもなっています。

三日月並みの明るさに
4-1.jpg東京での日の出45分前の様子ですが、全国ほぼ同じような見え方となります

 そんな彗星たちの実態は、天体とは名ばかりの「汚れた雪玉」に例えられるような、頼りないものですが、それが太陽に近づくと強烈な熱であぶられて少しずつ蒸発し、噴き出したガスやチリが太陽風や太陽の光圧に押され、吹き流しのように長い尾をたなびかせ、「ほうき星」などと呼ばれる姿となって、夜空に掛かるのです。

 大昔の人々にとって、彗星が現れるのは、戦争などの凶兆とされてきました。しかし、彗星に言わせれば、「いつ戻ってきても、人間どもは争い事ばかりしている……」とぼやき、つぶやいているというのが本当のところではないでしょうか。

 それはさておき、アイソン彗星が肉眼で見えるようになるのは11月中旬ごろからで、夜明け前の東の空で少しずつ明るさを増し、長い尾を引くように見え始めます。そして、11月29日に太陽に最も近づき、その後は再び太陽から離れていき、12月中旬ごろまで肉眼で夜明け前の東の空に見ることができます。

 太陽に大接近するころの明るさは、なんとマイナス7等星くらい、つまり宵の明星の金星よりずっと明るい、三日月並みになるというのですから驚きですが、少し心配な点がないわけでもありません。

 大きさが5キロメートル大の汚れた雪玉のようなアイソン彗星が太陽に近づきすぎるため、蒸発して消えてしまわないかということです。なんとか生き残って、再び12月初旬の夜明け前の東の空に、長い尾を引いた雄姿を見せてくれることを願い、見守ることにしましょう。

アイソン彗星の見え方(予想図)

 肉眼でもよく見えるのは11月下旬から12月上旬のころ。夜明け前の東の空で、ごく低いところに見えます。11月29日は、太陽に近すぎて彗星はまだ、地平線の下にあります。

 図に示してあるゲンコツのスケールは、自分の目の前に腕をいっぱいに伸ばしたときのもので、星空のおよその角度を知るのに便利です。これによって尾の長さがどれくらいに見えるのか、見当が付けられます。

 図のアイソン彗星は3日ごとの位置で示してありますが、双眼鏡を使うと肉眼より、さらにはっきり見えますので、11月初旬ごろから12月下旬ごろまでの長期間にわたってその姿を見ることができます。
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