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スギ花粉症 [健康]

 花粉症にもさまざまな種類がありますが、患者が最も多いのはスギ花粉症。今月から、その治療法の一つである「舌下免疫療法」への保険適用が始まります。舌下免疫療法について、日本医科大学の大久保公裕教授(同大学付属病院、耳鼻咽喉科部長)のお話から。
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治癒、長期寛解が見込める
 花粉症の治療といえば、かゆみ、くしゃみ、鼻水など、症状を抑えるための薬の使用が一般的です。これは症状に対して行う対症療法です。

 これに対して免疫療法は、あらかじめ花粉に反応しづらい体質づくりを目指す方法で、予防法と考えてよいでしょう。

 免疫療法では、病気の原因となる物質を少しずつ体内に吸収させることで、過剰な反応(症状)の抑制を進めます。スギ花粉症に対しては、はじめは低濃度から、やがて高濃度のスギ花粉を含んだ薬を投与します。

 唯一、花粉症の治癒、または長期寛解(症状が治まった状態)が期待できる治療法とされ、小児期に行うと、他のアレルギー疾患の合併を減少させる可能性があるなどの特長があります。

 ただし効果には個人差が大きく、治癒または症状の軽減が見られることが多いものの、10~20%程度、効果が現れないケースもあります。

 投与の方法は、これまで注射によるものにしか健康保険が適用されませんでした。

 この場合、通常、はじめの4~6カ月程度、週1回の通院が必要です。その後の通院は1カ月に1回で、2年程度継続します。通院回数の多さや、注射する際の痛みなどが課題とされています。

 これに対して舌下免疫療法は、通院回数が比較的少なく、苦痛の少ない方法とされています。
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 これまでも行うことはできましたが、健康保険が適用されなかったため、費用が課題でした。今回、保険が適用される対象年齢は12歳以上です。
治療の開始は12月までに 毎日、自宅での投与が可能

 舌下免疫療法では、注射の代わりに、原因物質(アレルゲン)を含むエキスを、次のような流れで投与します。

 ①スギ花粉を含むエキスを、舌の下に滴下する。

 ②舌の下に保持したまま2分間じっとし、その後、飲み込む。

 ③①②を毎日、最初の2週間は量を増やしながら行う。

 ④3週目からは同じ量を、毎日、舌下投与する。

 ⑤治療は、2年間ほど続ける。

 ◇ 

 月に1回の定期的な通院が必要ですが、基本的には自宅で行える点が、注射で行う場合との大きな違いです。

 ただし使用する薬が新薬のため、今後、約1年間は、一度に2週間分までしか処方できないことが厚生労働省によって決められています。

 したがって、この1年間に行う場合は、2週間に1回の通院が必要になります。

 なお治療費用は、3割負担の場合、1カ月当たり診察料を含めて3000~4000円程度です。

 投与後の注意点として、「5分間は、うがいや飲食を避ける」「2時間は、飲酒、激しい運動、入浴などを避ける」等が挙げられます。

 副作用には、口腔内のかゆみ、口唇の腫れ、咽頭の刺激感、ぜんそく発作、腹痛、嘔吐などが考えられますが、重症にまで至るものは少ないとされています。

 まれに、アナフィラキシーショック(強いアレルギー反応)が報告されています。

 また以下の状況の方など、治療を受けられない場合があるので、医師とよく相談してください。

 ・妊娠中である

 ・ぜんそく、気管支ぜんそくの症状が強く出ている

 ・重症の口腔アレルギーがある

 ・抜歯後など、口腔内に傷や炎症がある

 ・ステロイドや抗がん剤、β阻害薬など特定の薬を使用している

「指示通りに」「根気よく」
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 スギ花粉が飛んでいる期間に、免疫療法を開始することはできません。

 空気中の花粉に加えて、急激に、さらに花粉を体内に入れることになり、アレルギー症状が強く出てしまうためです。ですから、治療を開始するのは、通常、6月から12月までです。

 前述のように、舌下免疫療法の効果には個人差があります。また、大きな効果が得られても、時の経過とともに薄れていくケースは多く見られます。この場合、再度、1、2年間の舌下免疫療法を行うことが勧められます。

 この治療法の最大の注意点は、「医師の指示通りに」「根気よく」行うことです。投与の量と間隔を、きちんと守りましょう。
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 また、現状は行える医療機関が限られているので、医療機関のホームページで調べたり、電話で問い合わせたりするなど、あらかじめ確認した方がよいでしょう。

 今回はスギ花粉のみが保険適用となりましたが、その他の花粉やハウスダストなどへも、順次拡大していくことが望まれます。









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