海の生きものたち<シチセンベラ> [自然]
どぎつく鮮やか
オーストラリア・レディエリオット島のシチセンベラ
派手ないでたちで登場したのは、シチセンベラという名の魚である。何もここまでしなくたって……と思うのは私だけだろうか。これは撮らなければとレンズを向けるが、その素早いこと。ひとときもじいっとせず、ひたすら泳ぎ回っている。
シチセンベラはサンゴ礁やその周辺の岩礁域、あるいは薄暗い洞窟などに単独で生息している。体に7本の白い帯があることから、シチセンベラと命名された。
しかしそれは日本産の個体にいえること。ご覧のようにオーストラリア産には、白い帯が見当たらず、どちらかといえばグリーンに見える。全体の色合いも日本産よりはるかにどぎつく鮮やかだ。
そればかりではない。歯が青いのだ。体の色に対して細部までこだわる魚にはお目にかかったことが無い。もしかして、ふんは紫色だったりして……。
ところで魚の模様のことだが、シチセンベラのように縦に見える線を「横じま」、魚の頭部から尻尾にかけて走る線が「縦じま」という。人間と同じように、魚を立ててみればうなずけるだろう。
シチセンベラは雑食性で、特に嫌いなものは無いようだ。ベラ類はよくダイバーの後を追うようにつきまとうことがある。石ころや死んで朽ちたサンゴのかけらなどを、フィン(足ヒレ)で蹴飛ばしてくれるのを待っている。それらの下にはエビやカニなど、甲殻類が潜んでいるのをベラたちは知っているのだ。
シチセンベラは英名でハーレクイン(道化師)というが、言い得て妙と大いにうなずける。
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