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星と虹とに照らされて [自然の力・気象情報]


先人たちから受け継ぐ豊かな自然観 自然写真家 高砂淳二さんtakasuna.PNG

 世界各地の夜の空を収めた新刊写真集『ASTRA』(小学館)が話題を呼んでいる自然写真家・高砂淳二さんに、撮影を通して学んだ自然観、生命観や、環境保護への取り組みについて聞きました。(写真は高砂さん提供)


大宇宙との共鳴

 十数年前に、ハワイで「夜の虹」を見ました。雨が降ると満月の光に照らされてアーチが出るのです。一見すると白っぽい、だけどよく見ると虹の七色がうっすらと感じられる不思議な光景です。ハワイでは「この世の最高の祝福」とされていて、その神秘的な眺めに圧倒されました。

 その感動に突き動かされるように、世界各地で夜の風景を撮ってきました。

 月に照らされた浜辺や山々は、静寂さで覆われています。そして、頭上には満天の星々が……。北極星を中心に、刻一刻と回転を続ける星座たちを眺めていると、夜の自然には、私たちが街で暮らしているのとはまったく異なる、“星としての地球の時間”が流れているように感じられます。

 何万年も前に発せられた、星々の無数の光に向き合っていると、数十年しか生きていない私の体の中にも、小さな一つの宇宙があって、時空を超えて大宇宙と共鳴していると思えてくるのです。

 英語で星を指す「STAR」の語源は、ギリシャ語の「ASTRA」で、魂の意味もあると聞いたことがあります。また、「星の下に生まれる」ともいいます。四季の移ろいを、星や月を通して見定めながら暮らしてきた先人たちは、星との密接な心のつながりを持って暮らしてきたのでしょう。現代の私たちは、便利だけど慌ただしい暮らしの中で、そうした感性を忘れてしまいがちです。

“違い”に橋を架ける

 世界各地を旅しながら、オーストラリアやアフリカ、ハワイなどで、先住民の文化を受け継いでいる人々と出会いました。彼らは皆、母なる地球に感謝し、自然のリズムを尊重しながら、心豊かに過ごしています。

 私も、そうした生命観、自然観に触れる中で、虹や野生動物を撮影するとき、心の中で相手に語り掛ける習慣が、身に付いてきました。

 ハワイには、州で掲げているモットーがあります。「大地の生命は、人の高潔さの中に保たれる」というもので、生きものたちが地球上でバランスを取りながら暮らしていけるよう、守っていくのが人間の役割だと。先人たちから受け継がれてきた知恵です。

 とはいえ、人はともすれば、人種や考え方などの“違い”にこだわって、争い合ってしまう。ハワイの言い伝えでは、そうした“違い”に橋を架けるために、虹が現れるのだと聞きました。この話を聞いて、自分が虹に魅せられた理由が分かった気がします。

 私が役員を務めるNPO「OWS(The Oceanic Wildlife Society=海洋野生生物協会)」では、海のごみの回収、啓発活動をはじめ、海と生きものたちを守るための活動を進めています。身の回りの暮らしの中でも、ごみを散らかさないことなど、ちょっとしたことから環境を守る取り組みはできます。力を合わせて、美しい海と大地を守っていきましょう。


プラネタリウム「未来は星空の中に」 東京・池袋で上映中  高砂さんの撮影したオーロラやハワイの火山活動などの美しい映像を通し、躍動する地球の姿を伝える特別プログラム「One Planet the Earth 未来は星空の中に」が、東京・池袋の「コニカミノルタプラネタリウム“満天”in Sunshine City」で、同館オープンの10周年記念作品として上映中(明年3月1日まで)。

■プロフィル  たかさご・じゅんじ 1962年、宮城県生まれ。大学在学中に訪れたオーストラリアの自然に魅せられ、ダイビングと写真を始める。雑誌フォトグラファーを経てフリーに。『夜の虹の向こうへ』『虹の星』『南の夢の海へ』など著書多数。

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