SSブログ

気管支拡張症 [健康]

 気管支拡張症は、さまざまな原因によって、その名の通り気管支の一部が非可逆的(戻らない)に拡張した状態になる病気です。さらに気管支炎や肺炎を引き起こす原因となります。気管支拡張症について、東京都済生会中央病院(東京都港区)の呼吸器内科・中村守男担当部長に聞きました。nakamura.PNG

原因 気管支壁のダメージ

 気管支は、空気の通り道であると同時に、空気と一緒に吸い込んだ病原菌などから体を守る場所でもあります。気管支拡張症は、炎症などによって「気管支壁」が損傷を受け、気管支が拡がってしまう病態です(イメージ図参照)。
 決して珍しい疾患ではなく、しばしば見受けられます。男性に少なく、女性に多いのが特徴です。
 原因のほとんどは「続発性」で、風邪、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症が重症化したり繰り返し発症したりすることで気管支壁がダメージを受けて起こります。
 幼少時に肺炎、肺結核、気管支炎、百日咳などに罹患した人に多いともいわれ、また慢性副鼻腔炎(蓄膿症)も原因の一つに挙げられています。
 まれに先天性のこともあり、「カルタゲナー症候群」という先天的な病気が気管支拡張症を合併するケースなどが知られています。

症状 慢性的な咳や痰など
2-2.jpg
 一度拡がってしまった気管支は、残念ながら元に戻りません。
 気管支が拡張すると、本来の浄化作用が低下し、痰がたまりやすくなります。また気管支の分泌液が拡張した部分にたまることで、細菌増殖の温床になります。
 この細菌が、さらに気管支壁を傷付けるので、感染と損傷の悪循環に陥ります。
 症状は、慢性的な咳や痰が主で、痰は黄色や緑色(膿性痰)のことがほとんどです。
 熱を伴ったり、進行すると血痰や喀血が見られたりすることもあります(初期症状から喀血が見られるケースもあります)。
 咳や痰は風邪でも見られる症状なので、必ずしもすぐに医療機関へ行かないかもしれません。しかし、2週間ほど咳が止まらないようであれば、医師の診察を受けることをお勧めします。
 通常、日常生活に大きな影響はありませんが、放置すると、気管支炎や肺炎を引き起こしやすくなります。
 さらに、広範囲に及ぶ気管支拡張症の場合は、呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」等と音がしたり(喘鳴)、息切れがしたりすることがあります。
 また、肺性心(肺循環の障害により、心臓の右心室の肥大拡張が進行する)や呼吸不全に進行した場合は、疲労感や嗜眠(いつでも眠ってしまう)も見られます。

診断 レントゲンやCT検査

 診断は、胸部レントゲン写真やCT(コンピューター断層撮影)検査を行い、円筒状や袋状に拡張した気管支の有無によって行います。
 また、気管支の状態により、病気の範囲や重症度を判定します。
 気管支拡張症と診断されると、関与していると考えられる病気を確認するために、特殊な検査が行われることがあります。
 (検査の例)
 ・特定のタンパク質の血液検査
 ・特殊な顕微鏡による鼻、気管支、または精子の標本検査

治療 薬などの対症療法
 治療は、対症療法が中心です。
 緊急性はないことの多い病気ですが、気管支の拡張を改善することはできないので、上手に“付き合っていく”ことが必要となります。
 症状の軽減や炎症を抑えるために、マクロライド系と呼ばれる抗生物質を低量で長期使用することがあります。
 また、痰を出しやすくする薬により、気道のクリーニングに努めます。痰を出しやすい体位を取る(体位ドレナージ)などの理学療法の併用も検討されます。
 血痰がある場合は、止血剤を投与します。発熱や膿性痰が増加する増悪期には、原因となっている細菌に有効な抗菌剤を投与します。
 逆に、気管支の拡張が確認されても特に症状がなければ、治療をせずに経過を観察することがあります。
 まれに、治療を行っても再感染を起こす人や、多量の喀血がみられる人に対して、手術による切除が検討される場合があります。
 喀血の量が著しく多い場合には、出血を止めるため、カテーテルを挿入して出血部分をふさぐ物質を注入する「塞栓法」と呼ばれる方法が用いられることもあります。
 予防することは難しいですが、気管支拡張症を引き起こしやすい病気の予防や早期発見・治療開始をすることで、発症や重症化を防げる可能性があります。
 「引き起こしやすい病気」とは、風邪、インフルエンザなどの感染症や慢性副鼻腔炎などです。
 特に気管支や肺の病気のある方は、インフルエンザ流行時期には予防接種を受けるなど、積極的な取り組みが望まれます。

郵送でできる検査


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。