進歩する視力屈折矯正手術 [健康]
長所・短所を理解し眼科専門医を受診
レーシックをはじめとする、視力矯正の手術は、期待が高い一方で、トラブルもあるようです。視力屈折矯正手術の基本と注意点について、新宿近視クリニック(東京都新宿区)の苅谷麻呂理事長に聞きました。
ピントを合わせる
眼では、「角膜」が光を屈折させ、続いて「水晶体」が屈折率を調節し、網膜にピントが合うようにします。
ピントを合わせることができず、焦点が網膜よりも手前に結ばれてしまう屈折異常が、近視です。反対に、焦点が網膜よりも後ろにいってしまう屈折異常が遠視です(図1参照)。
焦点が2カ所以上に分かれる状態が乱視で、これは主に、角膜が均一のカーブになっていない場合に起こります。
視力矯正のための眼鏡やコンタクトレンズは、角膜の屈折力を調整し、ピントを合わせるために用いられているのです。
そして、眼鏡やコンタクトレンズの使用に不便を感じる方や、取り組んでいる仕事やスポーツ・美容上の関係などで使用が望ましくないと思われる方には、レーシックに代表される視力屈折矯正手術という選択肢もあります。
特に、若い世代の人や白内障のない人を中心に勧められますが、最近では手術法や機械の種類も増え、それぞれに特性があります。患者さんの眼の状態や要望に合わせて、一番よい方法を選択することが重要です。
次に、視力屈折矯正手術の種類とその特徴を記します。
レーシック
「レーシック」は、角膜の中央部分をエキシマレーザー光線で削り、角膜のカーブを変えることで屈折異常を矯正する方法の一つです。
レーシックで矯正できる度数には限度があるので、強度の近視や乱視の矯正には不向きです。
費用は、使用する機械や術式、医療機関によって、大きく異なります。
当クリニックでも、7万円台で行える方法から、30万円くらい必要となるものまであります(ともに両眼の料金)。
おおむね、図2のように進めます。また、主な長所と短所を列記します。
●長所
・近視、乱視の矯正に優れている
・見え方の質が向上する
・症例数が多く、安心感がある
・多様な種類があり、手術代金が安いものもある
●短所(以下のことが起こる可能性がある)
・結膜下出血(白目部分の出血)
・近視の戻り=多くは再手術で補正できるが、角膜の厚みや矯正度数の関係により、再手術できないこともある
・ドライアイ=発生や悪化が起こり得る。ただし、徐々に回復する
・ハロ・グレア現象=夜間の光がまぶしく、にじんだように見える状態になる
・眼圧測定や白内障手術への影響=角膜が薄くなるので、眼圧測定値が正常より低く出る。そのため緑内障の診断には、眼圧測定以外にも視野の検査が重要になる。また、将来の白内障手術の際、眼内レンズの度数の計算式が通常と異なってくる。こうした際は、レーシックを受けた旨を必ず医師に申し出る
・ごくまれに、角膜の感染症や炎症が起こる
リレックス
「フェムトセカンド」というレーザーで角膜のカーブを変え、視力を回復させる方法です。4年ほど前に登場し、あっという間に世界中で行われるようになりました。
費用は医療機関によって異なりますが、両眼30万円程度です。図3のように進めます。
●長所
・近視、乱視の矯正に優れている
・フラップを作成しないので、格闘技やスポーツなど、激しい動きに強い
・術後のドライアイ、近視の戻り、ハロ・グレア現象、炎症が少ない
●短所
・手術代金がやや高い
・遠視、不正乱視(角膜表面のゆがみによるもので、通常の乱視とは異なる)の治療はできない
・近視、乱視の度数によっては、レーシックの方が向いている場合がある
注意点など
手術時間は、レーシック、リレックスともに10分程度で、日帰りで行います。
18歳未満の方は、術後に近視が進行する可能性があるため、手術を受けることができません。
なお、老眼治療に適したレーシックやリレックスを行う医療機関もあります。
手術には、必ずリスクが伴います。その長所と短所を十分に理解し、眼科専門医の診察および手術を受けることが勧められます。
眼科専門医とは、日本眼科学会、日本眼科医会の会員であり、臨床研修を修了し、認定を受けた医師です。日本眼科学会の専門医は、同会のホームページで確認することができます。
手術前後の検査等を含んだ全ての費用は、健康保険が適用されないため、自費診療となります。検討する際には、費用に術後の検査や薬剤などが含まれているか、どのくらいの期間の補償があるかなどを確認しましょう。
生命保険や医療保険によっては、これらの手術費用が支払われる可能性もあるので、検討する時には確認した方がよいでしょう。
その他の方法
患者さんの眼の状態が、レーシック、リレックスの適応とならない場合でも、視力矯正の方法はあります。以下に、二つの治療法を記します。
〈フェイキックIOL〉
眼の中に、眼内レンズを挿入することで屈折力を変え、近視・乱視・遠視を矯正する方法です。
この眼内レンズは、白内障手術で使用する際の眼内レンズと同じ材質で、ソフトコンタクトレンズのように柔らかいものです。眼の中に、交換不要のコンタクトレンズを入れると考えてよいでしょう。
見え方の質が非常に高く、近視の戻りがないのが特徴です。
現在は、虹彩の後ろに入れるレンズが主流です
〈オルソケラトロジー〉
特殊なデザインのコンタクトレンズを装用することで、角膜の形状を一時的に変化させ、近視や乱視を矯正する方法です。
寝ている間にレンズを装用し、起きている間は裸眼で生活できます。
また、学童期の子どもが装用することで、近視の進行を抑制する効果があることも分かってきました。使用については、主治医とよく相談の上、進めてください。
子宮頸がんHPVヒトパピローマウイルス(おりもの)検査セット
レーシックをはじめとする、視力矯正の手術は、期待が高い一方で、トラブルもあるようです。視力屈折矯正手術の基本と注意点について、新宿近視クリニック(東京都新宿区)の苅谷麻呂理事長に聞きました。
ピントを合わせる
眼では、「角膜」が光を屈折させ、続いて「水晶体」が屈折率を調節し、網膜にピントが合うようにします。
ピントを合わせることができず、焦点が網膜よりも手前に結ばれてしまう屈折異常が、近視です。反対に、焦点が網膜よりも後ろにいってしまう屈折異常が遠視です(図1参照)。
焦点が2カ所以上に分かれる状態が乱視で、これは主に、角膜が均一のカーブになっていない場合に起こります。
視力矯正のための眼鏡やコンタクトレンズは、角膜の屈折力を調整し、ピントを合わせるために用いられているのです。
そして、眼鏡やコンタクトレンズの使用に不便を感じる方や、取り組んでいる仕事やスポーツ・美容上の関係などで使用が望ましくないと思われる方には、レーシックに代表される視力屈折矯正手術という選択肢もあります。
特に、若い世代の人や白内障のない人を中心に勧められますが、最近では手術法や機械の種類も増え、それぞれに特性があります。患者さんの眼の状態や要望に合わせて、一番よい方法を選択することが重要です。
次に、視力屈折矯正手術の種類とその特徴を記します。
レーシック
「レーシック」は、角膜の中央部分をエキシマレーザー光線で削り、角膜のカーブを変えることで屈折異常を矯正する方法の一つです。
レーシックで矯正できる度数には限度があるので、強度の近視や乱視の矯正には不向きです。
費用は、使用する機械や術式、医療機関によって、大きく異なります。
当クリニックでも、7万円台で行える方法から、30万円くらい必要となるものまであります(ともに両眼の料金)。
おおむね、図2のように進めます。また、主な長所と短所を列記します。
●長所
・近視、乱視の矯正に優れている
・見え方の質が向上する
・症例数が多く、安心感がある
・多様な種類があり、手術代金が安いものもある
●短所(以下のことが起こる可能性がある)
・結膜下出血(白目部分の出血)
・近視の戻り=多くは再手術で補正できるが、角膜の厚みや矯正度数の関係により、再手術できないこともある
・ドライアイ=発生や悪化が起こり得る。ただし、徐々に回復する
・ハロ・グレア現象=夜間の光がまぶしく、にじんだように見える状態になる
・眼圧測定や白内障手術への影響=角膜が薄くなるので、眼圧測定値が正常より低く出る。そのため緑内障の診断には、眼圧測定以外にも視野の検査が重要になる。また、将来の白内障手術の際、眼内レンズの度数の計算式が通常と異なってくる。こうした際は、レーシックを受けた旨を必ず医師に申し出る
・ごくまれに、角膜の感染症や炎症が起こる
リレックス
「フェムトセカンド」というレーザーで角膜のカーブを変え、視力を回復させる方法です。4年ほど前に登場し、あっという間に世界中で行われるようになりました。
費用は医療機関によって異なりますが、両眼30万円程度です。図3のように進めます。
●長所
・近視、乱視の矯正に優れている
・フラップを作成しないので、格闘技やスポーツなど、激しい動きに強い
・術後のドライアイ、近視の戻り、ハロ・グレア現象、炎症が少ない
●短所
・手術代金がやや高い
・遠視、不正乱視(角膜表面のゆがみによるもので、通常の乱視とは異なる)の治療はできない
・近視、乱視の度数によっては、レーシックの方が向いている場合がある
注意点など
手術時間は、レーシック、リレックスともに10分程度で、日帰りで行います。
18歳未満の方は、術後に近視が進行する可能性があるため、手術を受けることができません。
なお、老眼治療に適したレーシックやリレックスを行う医療機関もあります。
手術には、必ずリスクが伴います。その長所と短所を十分に理解し、眼科専門医の診察および手術を受けることが勧められます。
眼科専門医とは、日本眼科学会、日本眼科医会の会員であり、臨床研修を修了し、認定を受けた医師です。日本眼科学会の専門医は、同会のホームページで確認することができます。
手術前後の検査等を含んだ全ての費用は、健康保険が適用されないため、自費診療となります。検討する際には、費用に術後の検査や薬剤などが含まれているか、どのくらいの期間の補償があるかなどを確認しましょう。
生命保険や医療保険によっては、これらの手術費用が支払われる可能性もあるので、検討する時には確認した方がよいでしょう。
その他の方法
患者さんの眼の状態が、レーシック、リレックスの適応とならない場合でも、視力矯正の方法はあります。以下に、二つの治療法を記します。
〈フェイキックIOL〉
眼の中に、眼内レンズを挿入することで屈折力を変え、近視・乱視・遠視を矯正する方法です。
この眼内レンズは、白内障手術で使用する際の眼内レンズと同じ材質で、ソフトコンタクトレンズのように柔らかいものです。眼の中に、交換不要のコンタクトレンズを入れると考えてよいでしょう。
見え方の質が非常に高く、近視の戻りがないのが特徴です。
現在は、虹彩の後ろに入れるレンズが主流です
〈オルソケラトロジー〉
特殊なデザインのコンタクトレンズを装用することで、角膜の形状を一時的に変化させ、近視や乱視を矯正する方法です。
寝ている間にレンズを装用し、起きている間は裸眼で生活できます。
また、学童期の子どもが装用することで、近視の進行を抑制する効果があることも分かってきました。使用については、主治医とよく相談の上、進めてください。
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