ネフローゼ症候群 [健康]
尿に大量のタンパク質
→血液中のタンパク質が減少
→むくみ、高脂血症などの症状
ネフローゼ症候群は、タンパク尿が出ることにより症状が現れる腎臓の病気で、その原因やタイプにはさまざまなものがあります。ネフローゼ症候群について、東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)の本田雅敬院長に聞きました。
7~8割の人が再発
ネフローゼ症候群とは、尿の中にタンパク質が大量に出てしまうことによって、血液中のタンパク質が減少する症状の総称です。全身のむくみや高脂血症(血液中の脂質の上昇)を伴うのが一般的です。
まぶたや顔全体、手足などの急なむくみのために受診して病気が分かるケースが多いようです。学校などの検尿がきっかけで判明する場合もあります。
発症する年齢は、小児では2~6歳が多いのですが、他の年齢や大人でも見られます。女性よりも、男性に多く見られます。
再発が多いのがこの病気の特徴で、7~8割の人に起こるといわれています。また、そのうちの約半数では、頻回(6カ月に2回以上)の再発が見られます。再発を繰り返す人は、必ず腎臓専門医による治療を受けてください。
2000年くらいまでは、子どもが発症した場合、大人になるまでに9割くらいの人が自然に治っていったように思います。しかし最近は、大人になっても再発を繰り返す確率が高くなっている印象があります。
ネフローゼ症候群は、「小児慢性特定疾患」に指定されているため、未成年では、治療費はあまり掛かりません(入院費無料、外来は収入によって異なります)。
しかし20歳以降は通常の治療費が掛かるようになるので、注意が必要です(東京都では難病に指定されているため、払う費用は少なくて済みます)。
郵送でできる検査
自身で検査し早期発見
残念ながら、現状では完治に至る治療法はありません。しかし、寛解(症状が治まった状態)を達成できる可能性はあります。
長期間、寛解状態を保てる場合も多く、その間は、基本的に通常の生活を送ることが可能です。タンパク質を多めに取らなければ等と気にする必要もありません。
ただし市販の尿検査薬で、できれば毎朝、少なくとも週に1回程度、自身で検査を行いましょう。タンパク尿を認めた場合、早めに病院へ行くようにすれば、再発の早期発見につながります。早期に治療すれば、多くは症状もなく、入院も必要ありません。
再発すると、「寛解状態では一般と同じ生活をして、再発した時にまた治療する」ということを何度か繰り返すことになりますが、病気と上手に付き合っていくことができる、と前向きに捉えていただくことを願っています。
この病気は、原因が不明の「特発性」と、他の病気によって引き起こされる「続発性」の二つに大別されます。それぞれについて見てみましょう。
特発性
小児では、ほとんどが「微小変化型」と呼ばれるタイプで、通常、治療にはステロイド薬による薬物療法が用いられます。むくみがひどい時は、入院して塩分の摂取を制限することもあります。
ステロイド薬は非常に効果が高く、たいていの場合5~7日で症状が治まります。しかし薬をやめると、約7割の患者さんで再発が見られます。
投与を繰り返すと、副作用も心配されます。肥満や血圧上昇、血糖値上昇、骨粗しょう症などがありますが、子どもでは特に成長障害が問題になります。
これらの副作用を最小限に抑えるため、次のような工夫をすることがあります。
・子どもの場合=短期間で一気に使用して、再発した場合はあらためて治療する。
・成人の場合=毎日使用し、少しずつ量を減らしていく。
◇
特発性の1割程度は、ステロイド薬の効かない「ステロイド抵抗性」です。治療の効果が無いと、やがて腎不全へと進行することが分かっています。
この場合の治療には、免疫抑制剤を使用します。投与時には、体全体の免疫力が低下するため、体調の管理に気を配る必要があります。
なお、「ステロイド抵抗性」の寛解後に再発した場合、今度はステロイドの効果が出ることが多くあります。
◇
初期にはステロイド薬が効果を発揮したものの、再発が多くなってしまったケース(頻回再発型、ステロイド依存型)では、ステロイド薬と免疫抑制剤を併用します。
続発性
続発性ネフローゼ症候群の場合、原疾患に対する治療を優先させることになります。
ネフローゼ症候群を引き起こす原疾患には、さまざまなものがあります。以下に、代表的なものを列記します。
・糖尿病性腎症
・アミロイドーシス (異常タンパク質がさまざまな臓器に沈着する病気)
・紫斑病性腎炎
・膠原病(ループス腎炎等)
・IgA腎症
・ウイルス性肝炎(B型、C型)
郵送でできる検査
ネフローゼ症候群は、タンパク尿が出ることにより症状が現れる腎臓の病気で、その原因やタイプにはさまざまなものがあります。ネフローゼ症候群について、東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)の本田雅敬院長に聞きました。
7~8割の人が再発
ネフローゼ症候群とは、尿の中にタンパク質が大量に出てしまうことによって、血液中のタンパク質が減少する症状の総称です。全身のむくみや高脂血症(血液中の脂質の上昇)を伴うのが一般的です。
まぶたや顔全体、手足などの急なむくみのために受診して病気が分かるケースが多いようです。学校などの検尿がきっかけで判明する場合もあります。
発症する年齢は、小児では2~6歳が多いのですが、他の年齢や大人でも見られます。女性よりも、男性に多く見られます。
再発が多いのがこの病気の特徴で、7~8割の人に起こるといわれています。また、そのうちの約半数では、頻回(6カ月に2回以上)の再発が見られます。再発を繰り返す人は、必ず腎臓専門医による治療を受けてください。
2000年くらいまでは、子どもが発症した場合、大人になるまでに9割くらいの人が自然に治っていったように思います。しかし最近は、大人になっても再発を繰り返す確率が高くなっている印象があります。
ネフローゼ症候群は、「小児慢性特定疾患」に指定されているため、未成年では、治療費はあまり掛かりません(入院費無料、外来は収入によって異なります)。
しかし20歳以降は通常の治療費が掛かるようになるので、注意が必要です(東京都では難病に指定されているため、払う費用は少なくて済みます)。
郵送でできる検査
自身で検査し早期発見
残念ながら、現状では完治に至る治療法はありません。しかし、寛解(症状が治まった状態)を達成できる可能性はあります。
長期間、寛解状態を保てる場合も多く、その間は、基本的に通常の生活を送ることが可能です。タンパク質を多めに取らなければ等と気にする必要もありません。
ただし市販の尿検査薬で、できれば毎朝、少なくとも週に1回程度、自身で検査を行いましょう。タンパク尿を認めた場合、早めに病院へ行くようにすれば、再発の早期発見につながります。早期に治療すれば、多くは症状もなく、入院も必要ありません。
再発すると、「寛解状態では一般と同じ生活をして、再発した時にまた治療する」ということを何度か繰り返すことになりますが、病気と上手に付き合っていくことができる、と前向きに捉えていただくことを願っています。
この病気は、原因が不明の「特発性」と、他の病気によって引き起こされる「続発性」の二つに大別されます。それぞれについて見てみましょう。
特発性
小児では、ほとんどが「微小変化型」と呼ばれるタイプで、通常、治療にはステロイド薬による薬物療法が用いられます。むくみがひどい時は、入院して塩分の摂取を制限することもあります。
ステロイド薬は非常に効果が高く、たいていの場合5~7日で症状が治まります。しかし薬をやめると、約7割の患者さんで再発が見られます。
投与を繰り返すと、副作用も心配されます。肥満や血圧上昇、血糖値上昇、骨粗しょう症などがありますが、子どもでは特に成長障害が問題になります。
これらの副作用を最小限に抑えるため、次のような工夫をすることがあります。
・子どもの場合=短期間で一気に使用して、再発した場合はあらためて治療する。
・成人の場合=毎日使用し、少しずつ量を減らしていく。
◇
特発性の1割程度は、ステロイド薬の効かない「ステロイド抵抗性」です。治療の効果が無いと、やがて腎不全へと進行することが分かっています。
この場合の治療には、免疫抑制剤を使用します。投与時には、体全体の免疫力が低下するため、体調の管理に気を配る必要があります。
なお、「ステロイド抵抗性」の寛解後に再発した場合、今度はステロイドの効果が出ることが多くあります。
◇
初期にはステロイド薬が効果を発揮したものの、再発が多くなってしまったケース(頻回再発型、ステロイド依存型)では、ステロイド薬と免疫抑制剤を併用します。
続発性
続発性ネフローゼ症候群の場合、原疾患に対する治療を優先させることになります。
ネフローゼ症候群を引き起こす原疾患には、さまざまなものがあります。以下に、代表的なものを列記します。
・糖尿病性腎症
・アミロイドーシス (異常タンパク質がさまざまな臓器に沈着する病気)
・紫斑病性腎炎
・膠原病(ループス腎炎等)
・IgA腎症
・ウイルス性肝炎(B型、C型)
郵送でできる検査
2014-11-21 10:26
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0